用途例
- 印刷の前処理
- コーティングの前処理
- 接着の前処理
プラスチックフィルムなどの基材表面を、コロナ放電照射により改質させる表面処理技術です。
コロナ処理を施すことにより、基材表面が改質され、インク・コーティング剤・接着剤などの濡れ性と密着性が向上します。
プラスチックフィルムは表面張力が低く、印刷やコーティングの際、接着不良などの問題が発生するケースが多い傾向にあります。しかしこの処理を施すことで、表面張力が大幅に向上し、インク・コーティング剤・接着剤などの濡れ性や密着性がアップします。右の写真のように、未処理品では液をはじいてしまいますが、処理品は液をはじきません。
※コロナ処理のかけ方によっては、PETに水が濡れます。
※記載のデータは、代表値であり、規格値ではありません。
※上記以外の材料におきましても、お気軽にご相談ください。
コロナ処理効果の持続性は、永続的なものではありません。
空気暴露により、コロナ処理効果は減衰していきます。
ですので、コロナ処理効果を持続させるためには、保管方法および取扱方法が重要になります。
※PETで54mN/mのコロナ処理を施した場合
液体は、表面積が小さい方が安定する性質を持ちます。そして、安定した状態を保つために、表面積が小さくなるように内側に向けて力が働きます。この力が、表面張力です。
一方、固体にも表面張力が存在します。滴下した液体が固体の表面に接した際、下図のように固体の表面張力「b」は、液体の小さくなろうとする表面張力「a」とは逆に働きます。
そのため、「a>b」の場合は、液体の表面張力の方が固体上の液体を広げようとする力よりも強くなり、液体は固体表面に広がることなく弾かれてしまいます。
反対に、「a<b」の場合では、液体は固体表面に広がります。
はい。基材の種類によって表面張力の変化の度合いは異なります。
下の画像は、すべて70mN/mの濡れ試薬を塗布し、2秒後に撮影したものです
このように、同じコロナ放電出力で処理しても、基材の種類によって表面張力は異なります。
「コロナ処理によって、何故、表面張力が高まるのですか?」に記述していますが、基材の種類によって表面張力は変わります。
フィルム素材の化学構造式に「O,N,S(ヘテロ原子)」の元素が含まれると、より顕著に親水化が進みます。逆に言いますと、「O,N,S」の無い、「PP」や「PE」のようなオレフィン系の材料は、親水化が進みにくいです。
いいえ。どんな素材でもコロナ処理ができるわけではございません。
当社では、素材に導電性のあるものは処理することができません。(例:蒸着フィルム、導電カーボン印刷品など)
また、テフロンフィルムのような素材は、一般的にはコロナ処理では表面改質が難しいとされています。しかしながら、しかしながら、過去にテフロンフィルムにコロナ処理を施し、ラミネート適性を改善した事例がございます。
また、コートされたフィルムをコロナ処理し、ラミネート強度を改善させた事例もたくさんございます。(ただし、導電性のある素材はNGです。お忘れなく!)
コロナ処理は、ベースとなる基材の表面を改質する手段だと考える方が多いですが、中間工程での接着性改良や濡れ性改良にも活用できる手段です。そのような事例はたくさんございますので、是非お困りごとは、当社にお声がけください。
「コロナ処理によって、何故、表面張力が高まるのですか?」に記述していますが、親水性のカルボニル基や水酸基は、極性分子と呼ばれる分子構造であり、他の極性分子と引き寄せ合うという特徴を持っています。
フィルム上に塗工する樹脂が極性分子を含んでいれば、お互い引き合って密着力が強くなります。
しかしながら、塗工する樹脂に極性分子が含まれていなければ、コロナ処理による密着性の向上が期待できない場合があります。
このような場合は、樹脂コーティングによって密着性を増加させる「易接着コート」という方法があります。
また、当社では、「コロナ処理」と「易接着コート」を組み合わせることにより、さらに密着力を向上させる「特殊な処理」も行なっております。